エンディングノートのサポートをしていると、延命について、実は良く理解できないという方が非常に多いです。
現代の医療では、回復の見込みがなく、すぐに命が尽きそうなときにも人工呼吸器や、胃瘻などをはじめとする延命措置によって生きながらえることが可能です。
しかし、一方で一度これらの延命措置をはじめたら外すことは容易ではありません。つけた生命維持装置を外すことは医者はできません。
もちろん、あらゆる手段を使って生きたいと思う人がいる一方で、回復の見込みがないならば、安らかに死にたいと思う人もいます。
どちらも尊重されるべきものです。
ですが、先程も言ったとおり、一度延命をすれば外すことは叶いません。そのため自然に死にたいと思う方は、元気なうちに自分の意思を残しておく必要があります。
それがリビングウィルです。
リビングウィルは、命の遺言状とも言われます。
自分の命が不治かつ末期であれば、延命措置を施さないでほしい、と宣言しておきます。延命措置は控えますが、苦痛は取り除いてもらうことは可能です。
ただしこのリビングウィルには法的な拘束力はありません。ですが、臨床の現場においては、きちんと書いて医療や介護施設に渡しておけば、7〜8割は意思を尊重してもらえるようです。尊厳死協会に入会したり、公正証書で残すことも可能です。中にはエンディングノートに記載する書式がある場合もありますし、ない場合には自筆で残しておいても良いでしょう。
とにかく、自分の意思で積極的な治療を受けなかったのだ、という医療側の過失を問われないように準備しておかないとなりません。病院という場所はどうしても治療を優先することになるし、本人の意思が分からなければ、家族も延命しないと決断することはとても難しいものです。
生命維持に対する措置には、人工呼吸器の装着、中心静脈栄養、胃瘻、腎臓透析、化学療法、抗生物質投与、輸血などがあります。
しかしリビングウィルは、一時的な救命を拒むものではありません。また、外傷や神経、心臓、肺などの病気、あるいは遺伝性の病気によって生命維持装置を使って生活をされている場合もあります。
本人の意思は常に変わる可能性がありますが、事前にもしものことを話し合い、書類に残しておくことで、こうした延命の選択に対する戸惑いが減り、家族の負担を減らすことができるようになるでしょう。
ぜひ、実家に戻ったときは、夕飯のおかずは何がいい?と聞くような感覚で、気負わずにもしものときのことを話し合ってみて下さいね。