「しばらく歩くと足のしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる」
「腰痛はそれほどでもないが、足の痛みやしびれが強い」
「前かがみになったり座ったりすると楽になる」
「足に力が入らない」
脊柱菅狭窄症になる方が増えているって知っていますか?
脊柱菅狭窄症の主な原因は加齢。
まさに長寿大国である日本においてこれから増加してくる病気です。
脊柱菅狭窄症かもしれないと心当たりがある方向けの内容です。
脊柱菅狭窄症とは
脊柱管狭窄症はその脊柱管が狭くなる病気のことです。
50代から徐々に増加し、60〜70歳代に多くみられます。驚くことに、手術を受ける患者さんの年齢層は70代がピークとも言われています。
高齢者の10人に1人は腰部脊柱管狭窄症、推定患者数は580万人とも言われ、高齢になると多くの方が悩む病気であることがわかります。
(日本医事新報 (4835):26-29,2016 より)
他にも仕事の負担、腰の病気により、背骨が変形することで脊柱管が狭くなることが挙げられます。
腰を反る動作、重いものを持つことは避けるようにしたほうが良いです。
脊柱管狭窄症の症状とは?
主な症状は、歩行時や立っているときに臀部から下肢にかけての痛みやしびれです。
間欠性跛行(かんけつせいはこう)といって、歩くと症状が悪化し、休むとやわらぐことが多くの場合にみられます。
歩いては休み、歩いては休み、数十メートルごとに休憩しながらやっと目的地にたどり着くといった具合です。
また、前かがみになる姿勢をとると症状がやわらぐのも特徴的です。
具体的には、腰の痛み、臀部の痛み・しびれ、足の痛み・しびれ、足の筋力低下、歩行障害、排尿障害がみられます。
排尿障害は頻尿や夜間尿に始まり、残尿感、失禁へ進行します。
圧迫される神経の場所によって症状が異なりますが、上記のような症状がでていたら受診をしてみてください。
脊柱管狭窄症の検査
脊柱菅狭窄症の検査は、病歴、問診などの診察に加え、レントゲンMRI、CT、脊髄造影検査を実施します。
その他神経学的テストであるSLRテストや、腱反射、筋力テストに加え 閉塞性動脈硬化症との鑑別などを行います。
脊柱管狭窄症の治療
まずは保存的治療を行います。
血流改善薬や鎮痛剤、ビタミン剤の内服、局所麻酔・硬膜外もしくは神経根のブロック注射などが行われます。
装具療法としてコルセットを処方して安静にする場合もあります。
理学療法としては運動療法、物理療法(温熱療法)牽引療法などがあります。
日常生活の中では、仰向けに寝た時は膝下に枕を入れることや、立っている姿勢で仕事をするときは片足を台の上に載せるなども有効です。
もし症状が強ければ手術を選択するかもしれません。
脊柱管狭窄症の手術は、脊柱管を圧迫している骨や椎間板や靭帯を切除して脊柱管を広げて圧迫を取り除く「除去術」と、脊柱管を広げた後に背骨を固定する「除去固定術」と言われる手術があります。
最近では低侵襲手術と言われる内視鏡を使った手術も行われています。これは大きく切開をしないため非常に早期の退院が目指せます。
一方、手術には、神経を傷つけることによる下肢の麻痺、排尿・排便障害や、感染による術後椎間板炎など、合併症が起こるリスクもありますし、思ったようにしびれがとれないケースもあります。よく主治医と相談しましょう。
脊柱管狭窄症のリハビリについて
日常的に長く歩けないときは、休憩で痛みがとれる姿勢をみつけることも大切です。
座れるところがあったら座って休んでください。
座れるところがなければ、いわゆるヤンキー座りのような姿勢であったり、和式トイレにしゃがむような体制が楽かと思います。
また、壁に手をついて背中と腰を丸める(骨盤後傾)だけでも少し楽になるでしょう。
脊柱管狭窄症の診断がついた場合、医師の指示のもと、運動療法などを行うかもしれません。
※主治医や担当の療法士に行ってもいい運動を聞くようにしてください。
①脊柱管をひろげるストレッチ
四つ這いから背中を反らせないようにお尻をかかとに近づけ10秒間キープ。
ヨガでいうチャイルドポーズです。
このストレッチで厚くなった靭帯を伸ばすことができます。
②お尻の筋トレ
仰向けで膝をとじたまま腰が反らないように、膝を少し前に突き出す形で自然とお尻があがる状態で10秒キープ。
まとめ
脊柱管狭窄症は加齢に伴って起こりやすい病気です。
最初は腰が痛いのか、足がいたいのか、自分でもよく分からないこともあると思います。
ですが、強い痛みとしびれがあると外出範囲が狭まるなど生活の質が低下し、廃用してしまいます。
また、長期間の痛みによって精神的にもつらくなることがあると思います。
もしかして私も、と思ったら整形外科を受診してみてくださいね。
お読みいただきあありがとうございました。