いえいえ、膝痛を侮ってはいけません。
痛みが強く歩けなくなってしまうこともあるんですよ。
知っていますか?
膝関節は、ただ平の道を歩くだけでも体重の3倍の負荷がかかりますし、立ったりしゃがんだりするとなんと体重の約7~8倍もかかります。
このように、日常生活だけでも繰り返し酷使しているのです。
その膝の内側の痛みはもしかしたら「変形性膝関節症」かもしれません(※正確には整形外科で診断していただいてください)
しかし残念なことに、膝が痛くて受診したときに適切な生活の指導や運動療法を受けられるとは限りません。
私のような理学療法士が積極的に関わるときには、すでにかなり進行していまっていることが多いのです。
膝痛をしょうがないと放置するのではなく、今すぐできるセルフケアについてお伝えしたいと思います
3分ほどでお読みいただけます。
膝の内側の痛みの原因は?
先程申し上げましたが、膝の内側が痛む主要な原因は「変形性膝関節症」です。
これは膝関節に発症する慢性の関節炎で、多くの場合が外傷などの明確な原因がありません。
そもそも膝関節にかかる体重の負荷は、内側7、外側3の割合かかりますので、どうしても内側の軟骨がすり減りやすいのです。。
それでは具体的な症状の経過を3つの時期に分けて見ていきましょう。
初期
初期には軟骨がこすれ、動作の開始時に痛みが生じますが、少し休憩すると痛みが消えます。
この時期には湿布や痛み止めの内服、関節注射を行います。
リハビリでの運動療法が有効ですが、この時期になかなかリハビリを処方されることはなかなかありません。
進行期
進行期には軟骨がすり減りはじめ、骨に負担がかかり関節が変形します。
そのため正座が困難になったり、階段の昇降が難しくなります。
治療法は初期と同じですが、痛みが強くなってきた方には膝のサポーターをおすすめしたり、支柱の入った膝装具を処方することもあります。
末期
末期には関節の軟骨がなくなり骨が露出してしまう状態となります。
骨同士がこすれてしまうため関節が固くなり変形がかなり進行した状態となります。
安静時にも痛みを感じるようになり日常生活動作が困難となり人工膝関節置換術も適応となります。
※膝の内側が痛む原因には他にも内側半月板や前十字靭帯、内側側副靱帯の損傷が考えられますが、慢性的な痛みではなく何か外的な力が加わったなどのきっかけで痛みが出ると思われますので、医師に受傷起点などを伝えるといいでしょう。
膝の関節の仕組み
膝の関節は、大腿骨、脛骨、膝蓋骨が組み合わさって構成されています。
大腿骨と脛骨の間には、骨同士がぶつからないように関節軟骨で覆われており、骨の間には軟骨の一部である半月板というクッションがあります。
また、関節の中は関節液で満たされていて、関節軟骨に酸素や栄養を補給しているんですよ。
痛みが起こる機序
なんで膝が痛くなるのかしら?
特に中高年の女性はリスクが高いのですが、これは女性のほうが筋力が弱く、関節が小さいため膝にかかる負担が大きいことが挙げられます。
O脚の場合も、関節の内側に偏って体重がかかり軟骨がすり減りやすくなります。
さらに、肥満、激しいスポーツ、重労働も膝に負担がかかります。
ですので、「中高年の女性で肥満状態にある方やO脚気味」などのように条件に重複して当てはまる方は要注意です。
治療について
治療としては湿布や痛み止めの内服、関節内注射、運動療法、膝装具、手術などがあるのですが、残念ながらすり減ってしまった軟骨をもとに戻すことはできません。
違和感があれば早めに整形外科にかかることが必要です。
違和感を感じるポイントとしては
- 立ち上がりや歩きはじめに膝がこわばる
- 歩くと痛い
- 階段が痛い
- 曲げ伸ばしがしにくい
などがあげられます。
変形が進む前に予防することが重要です。
問診では下記のポイントを自分でも整理して、なるべく詳しく症状について医師に伝えましょう。
特に痛みの程度は他人が見てわかりませんから、我慢できるくらいなのか、我慢ができないくらい痛いのかなどはきちんと伝えるのがポイントです。
痛みについて
- いつから
- どの場所が
- いつ痛いのか
- 安静時にも痛いのか
- 痛みの程度
生活について
- 歩くのはどうか
- 階段は昇降できるか
- 立ち上がるときはどうか
- 正座やしゃがむ動作ができるか
- 着替えはスムースか
※他にも治療中の病気、薬の内服、体重の変化、職業やスポーツ歴なども伝えるようにしましょう。
すり減った軟骨をもとに戻すことはできませんが、運動療法で予防することはできます。